不妊症の治療方法 体外授精-胚移植(IVFIET)とは
◆ステップアップ法関連のエントリー
【はじめての不妊治療】不妊クリニックに行く前に!受診前に知っておきたい知識
【はじめての不妊治療】妊活第一歩!タイミング法の具体的な方法とは!?
【はじめての不妊治療】排卵誘発剤は使うべき!?そのメリットとデメリットをまとめ
【はじめての不妊治療】体外授精-胚移植(IVFIET)とは!?
◆体外受精について
不妊治療と聞いて、一般の方が最もイメージする治療かもしれません。
体外受精とは、女性の子宮から卵子を取り出し、培養液で精子に受精させ、女性の子宮に戻す技術になります。
ステップ法では、この次の治療法として、顕微授精(けんびじゅせい)というのもがあります。顕微授精とは精子を直接卵子に注入する方法です。顕微授精は体外受精の一種として、含まれることがあります。両方共、女性から卵子を取り出し、培養液で受精させ、受精卵を女性の体に戻します。しかし、精子と卵子を受精させる方法が若干異なります。
▼体外受精と顕微授精の違い
体外受精 卵子に精子を振りかける
顕微授精 卵子に精子を直接注入する。
◆体外受精を奨められる方
体外受精は費用が大きく、また治療を希望するカップルも多いため、誰でも受けられるわけではありません。
費用については、どのような治療法を選ぶかにも依存しますが、50万円程度が見込まれます。
費用の相場観については、以下のように言われています。
● 体外受精 :300,000円
● 培養 : 20,000円
● 胚凍結 :100,000円
● 凍結胚移植:100,000円
▼女性の問題
○精子が卵子にたどり着く為の障害(卵管が詰まっている、精子を妨害する抗体がある)
○子宮内膜症で卵子を卵管に運ぶ機能に問題がある。
▼男性の問題
○精子に問題がある。
⇒精子の数が少ない、奇形が多い、元気な精子が少ない
▼その他
原因不明だが、ステップアップ法の各段階で妊娠ができなかった。
■受精まで
◆月経開始1日目
自然排卵を防ぐため、体内のホルモン分泌を抑制出来るプセレキュアという点鼻薬を使います。
◆月経開始3日目~
排卵誘発剤を使い、卵子の元になる卵胞を育てます。直径20mm前後の卵子が複数育ったら、卵子の成熟を促進するHCGというホルモン剤の注射を行います。
◆月経開始 10~14日目頃
▼採卵&採精
ー卵巣から卵子を採卵します。
ー精液を提出します。精液を洗浄、濃縮します。
▼授精
ー人口受精(コンベンショナル)
ー顕微授精(ICSI)
■受精後
◆受精確認
◆子宮に戻す。
▼体外受精・胚移植(IVF-ET)、初期胚移植
受精後2〜3日ほど体外で培養したのち子宮に戻す
▼体外受精・胚盤胞移植(IVF-BT)胚盤胞移植
受精後5〜6日程度培養して胚盤胞の状態まで受精卵を成長させてから戻す
益子直美さんの不妊治療の記事を見ると、ツラい排卵誘発剤の治療をたえて、採卵してもその数が少なく、受精まで至らなかったものの、費用は妊娠してもしなくても同じ金額がかかるということでした。
この治療は、必ずしも成功率の高いものではないようです。排卵誘発剤を使うことで、複数の健康な卵子が採取出来る可能性が高いです。その為、取れすぎた卵子は受精卵として冷凍をすることがあります。その冷凍した受精卵を含めた妊娠率は、約30%という数字になります。
しかし、益子直美さんの例もだしましたが、必ずしも健康な卵子がとれるわけではありませんので、子宮の状態や年齢に依存するのかもしれません。
全国で体外受精新鮮胚移植を試みた夫婦100組のうち赤ちゃんを抱けたのは約7組
2010年に全国で行われた体外受精は、IVF-ETのみで65,239件(周期)ありましたが、採卵が行われた回数が62,606件(治療をスタートしたケースの96.0%)、新鮮胚移植が行われた回数が27,378件(治療をスタートしたケースの42.0%)となっています。
治療開始した周期に新鮮胚移植にいたる割合を5年前と比べてみると、2005年は68.5%でしたので、近年かなり低くなっていることがわかります。これは、治療を受ける女性の高齢化が進んでいる影響もゼロではないと思われますが、それ以上に、得られたすべての胚を凍結保存して、採卵周期ではなく、子宮内膜が理想的な状態の周期をねらって凍結融解胚移植を行うという作戦を選択している施設が急増していることの現れでしょう。
2010年に行われた IVF-ETで新鮮胚移植を行ったケースうち、妊娠にいたったのは6,484件ですので、移植周期あたりの妊娠率は23.7%、採卵周期あたりの妊娠率は10.4%、また統計として発表はされていませんが治療開始周期あたりで考えると9.9%になります。
さらに、出産にいたったのは4,395件(妊娠あたり流産率は23.9%)ですので、移植周期あたりの生産率は16.1%、採卵周期あたりの生産率は7.0%、また統計として発表はされていませんが治療開始周期あたりで考えると6.7%になります。つまり、体外受精にチャレンジされて新鮮胚移植を行い、赤ちゃんを胸に抱けた方は、100組中7組ということになります。決して高いとはいえない値に、愕然とされた方も多いのではないでしょうか。
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